光で紡ぐ1300年の物語 和歌の浦に灯した7つの光の演出

縁のある場所に記念の光を

和歌の浦のライトアップの様子①

2024年10月、和歌山県和歌山市にある景勝の地・和歌浦で、和歌の浦誕生千三百年を祝う記念大祭が執り行われました。万葉集にも詠まれ、長い歴史の中で人々に愛されてきたこの地での、ひと世代にひとつあるかないかの節目となる式典です。タカショーデジテックはこの大祭においてライトアップ演出を担当し、水面に映る光で和歌の浦の歴史と自然の美しさを表現しました。
今回のご依頼は、もともとタカショーデジテックのことをご存知だった関係者の方からのお声がけでした。「和歌の浦で一番象徴的なエリアに、何か特別な演出を」という想いを持ってご連絡いただいたことが、このプロジェクトの出発点です。ご担当者様の和歌の浦への深い愛着と、この場所にふさわしい光の表現を求める気持ちが、最初のお話し合いの段階からひしひしと伝わってきました。タカショーデジテックは本社のひとつを和歌山に構え、この地を原点のひとつとして歩んできました。千三百年という節目に、同じ和歌山の地で光の演出を担えることは、私たちにとっても深い縁を感じる光栄なプロジェクトでした。

和歌の浦のライトアップの様子②
和歌の浦のライトアップの様子③

和歌の浦のライトアップの様子

和歌の浦の記憶を光に込めて

ライトアップされた和歌の浦の並木道の景色

演出の舞台となったのは、水辺に面した和歌浦の遊歩道に連なる松の並木です。25灯のRGB照明を用いたライトアッププログラムで彩られた木々が水面に映し出される光景は、この場所ならではの魅力となりました。演出のテーマに選んだのは、「和歌の浦の山と干潟」や夕陽百選にも選ばれた「夕暮れの美しさ」など、この地ならではの自然と四季の移ろいです。そこから7つの場面を設定し、静かな水辺の遊歩道を約3分間かけてゆっくりと色が移り変わる演出に仕上げました。

落ち着いた紫を取り入れた和歌の浦のライトアップの演出①
落ち着いた紫を取り入れた和歌の浦のライトアップの演出②

落ち着いた紫を取り入れた演出

色づくりにあたっては、ご担当者様から「和風らしい、紫のような落ち着いた色味を大切にしてほしい」というご要望をいただいていました。鮮やかさの中にも日本らしい品のある色調を意識しながら、さらにライトアップそのものがイベントのプロモーションとなるよう、光に語れる物語を持たせることも大切にしました。見た人が「これはどんな意味があるの?」と自然に話したくなるような仕掛けです。

イベント本番の2週間前から点灯を開始し、和歌の浦の海岸沿いに位置するおっとっと広場などで行われた大祭の盛り上がりとともに、遊歩道を彩り続けました。

7つの物語が灯るライティングプログラム

ここからは実際にライティングの演出プログラムに込められた7つのストーリーをご紹介します。

01 和歌の浦の山と干潟

「和歌の浦の山と干潟」を表現した演出

和歌の浦を代表する景観の一つである「山と干潟」。プログラムは真っ暗な状態から、山と干潟を表現した黄色と緑色に徐々に点灯を開始します。

02 潮の満ちていく様子

「潮の満ちていく様子」を表現した演出

刻一刻と移ろう和歌の浦の景観。代表的なものとして潮の満ち引きによる景観の変化が挙げられます。ここでは、干潟に海が満ちていく様子を色で表現。写真左側(海側)より波が押し寄せ、徐々に青く染まっていきます。

03 夕暮れの美しさ

「夕暮れの美しさ」を表現した演出

和歌浦の夕暮れはとても美しく「日本の夕陽100選」にも選ばれてます。ここでは徐々に夕焼けに染まり、海も夕焼け色に変化していく様子を表現しています。

04 夜の情緒

「夜の情緒」を表現した演出

夕日が完全に沈み、夜空のシーンに。青紫に染まった景観は「和」の風情も感じさせてくれます。

05 春夏秋冬

「春夏秋冬」の「春」を表現した演出

そんな和歌の浦の景観に心打たれた多くの古人がこの地で和歌を詠み、歴史を積み重ねてきました。2024年に誕生1300年を迎えた和歌の浦。その時の移ろい(春夏秋冬による時間の経過)を、4色の組み合わせで表現します。

「春夏秋冬」の「夏」を表現した演出
「春夏秋冬」の「秋」を表現した演出
「春夏秋冬」の「冬」を表現した演出

06 和歌の聖地

「和歌の聖地」を表現した演出

和歌の聖地として愛され、和歌の神様が祭られる「玉津島神社」。神聖な場所としての神々しさを「真っ白」なライトアップで表現します。

07 景観・文化の魅力

「景観・文化の魅力」を表現した演出

和歌の浦は、自然豊かな景観、多くの人々に愛された歴史による文化が宿っており、今もなおその魅力を放ち続けています。ここでは、多種多様な和歌の浦の魅力を様々な色で演出します。

ライトアップは大祭の終わりとともに幕を下ろしましたが、撤去後には「また見たい」「ずっと常設してほしい」という声が多く寄せられたそうです。「寂しくなった」という声は、私たちにとってこれ以上ない言葉のひとつです。光は消えても、あの夜の色と空気は、訪れた方の記憶に残っているはず。和歌の浦の新たな魅力を発見していただけたなら、この演出は十分に役割を果たせたのだと思っています。

Credit

照明ディレクター:花田 諒 / RYO HANADA
株式会社タカショーデジテック
営業部 ライティングデザイングループ 兼
Creative Lab. AC マネージャー

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この記事を書いた人

CreativeLab.

『Creative Lab.』は、光を中心に屋外空間にイノベーションを起こすクリエイティブチームです。 デザインやアイデアで光の価値を創造するデザイン・企画チーム(AC)と、技術・開発で光の価値を創造する設計開発チーム(DC)で構成されています。 AC / DCで連携を取り、あらゆる屋外空間に合う光や価値を考え、新しくてワクワクする提案を行っています。

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