「青森ねぶた祭」や「秋田竿燈まつり」をはじめ、全国のあかり文化が和歌山に集結した企画展「日本あかり博×けやきライトパレード by FeStA LuCe」。タカショーデジテックはこの特別な場に向けて、ライティングデザイングループが中心となり、製造・開発部門と連携しながら、祭りごとに異なる光の条件に応じた別注アイテムを手掛けました。今回はその取り組みの裏側をご紹介します。
日本あかり博×けやきライトパレード by FeStA LuCeとは

「日本あかり博×けやきライトパレード by FeStA LuCe」は、日本各地のあかり文化が一堂に会した企画展です。「青森ねぶた祭」「秋田竿燈まつり」といった全国的に知られる祭りのあかりをはじめ、青森県弘前市「金魚ねぷた」・新潟県新潟市「鯛車」・山口県柳井市「柳井金魚ちょうちん」の三大魚あかり、茨城県水戸市「水府提灯」などの郷土のあかり文化、さらに富山県のガラス作家によるあかり作品まで、多彩な光の表情が同じ空間に集いました。和歌山県での開催は今回が初めてとなります。
今回展示されたさまざまな祭りのあかりの数々
各地の祭りや職人が育んできたあかりの文化を同じ場所で体感できるこの機会は、光にまつわるものづくりに携わる私たちにとっても、特別な意味を持つものでした。タカショーデジテックは協賛企業として、この企画展に向けてただ単に照明器具を提供するだけでなく、ライティングデザイングループが主導となり、製造・開発部門と連携しながら、祭りごとに異なる光の色や強さ、演出の意図に応じた専用の光のアイテムの別注製作を手掛けました。
日本あかり博の開催時の様子
祭りの光に向き合うために
展示を行った祭りの一部がもともと「火」を使う文化を持っていることが、今回の屋内会場での展示において大きな課題となりました。ロウソクの炎のようなゆらぎ、炎特有の色の表現、そして会場全体を包む温かみ——そうした「火の光」が持つ質感を、電気の光で表現しなければなりません。正解のない問いを前に、製造・開発部門のメンバーを中心に、試行錯誤を重ねていきました。
光源の明るさや色温度はもちろん、各祭りが長年使い続けてきた提灯や行灯(あんどん)の構造——素材の透け感、光の滲み方、影の落ち方——まで、ひとつひとつ丁寧に確認しながら対応を検討しました。社内の既存製品だけでなく、社外のアイテムまで幅広く選択肢を広げ、それぞれの祭りの個性に合った「光の取り入れ方」を探り当てていきましたが、たどり着いた答えは、既存製品をベースにした別注仕様の光のアイテムをつくることでした。
試行錯誤の様子
タカショーデジテックだからできた3つの光のアイテム
01 提灯用LEDコアモジュール
秋田竿燈まつりと山口七夕ちょうちんまつりの提灯には、LEDコアモジュールの基板を使った光源を別注で製作しました。提灯の蝋燭台をそのまま活かさなければならない構造上の制約があり、その台座を外さずに収まるよう設計しています。
光源の課題になった蠟燭台
当初はポータブルタイプの光源で検討していましたが、見た目の課題や明るさの不足が判明。試行錯誤を重ねる中で別注でつくる光源に調光機能を持たせることでほどよい明るさを実現することができ、最終的に計166台の別注のLEDコアモジュールを製造しました。山口七夕ちょうちんまつりと秋田竿燈まつりでは、あえてLEDの色温度を変えています。秋田竿燈まつりは提灯のシンプルな見た目を活かすために電球色(2700K)で、山口七夕ちょうちんまつりの提灯は赤みを帯びた色合いが特徴的なためその色をより際立たせるために、より暖色寄りの色温度(2000K)を選びました。祭りごとの光の個性に、光のプロとして応えるという意識が、こうした細かな使い分けにも表れています。

山口七夕ちょうちんまつりの展示ブース
02 De-moduleチューブ+アクリル台
フィッシュサーキット
フィッシュサーキットのブースでは、RGB仕様のDe-module(ライン光源)とアクリル製の台座を組み合わせたアイテムも製作しました。アクリルを、LEDサインの製造でも用いているNC加工機(数値制御による精密な機械加工)でカットし、魚が走る金物のレールをはめ込む構造で、光が金魚の泳ぐ方向へ流れるように演出しています。これはまさに、タカショーデジテックがサイン製作で培ってきた素材加工と構造設計の技術があってこそ実現できたものです。光に関する様々な技術を社内に持つからこそ、光るアイテムとしての演出と、台座としての造形を一体的に手掛けることができました。
03 Twinkly PLUS Bulb
柳井金魚ちょうちん祭り
柳井金魚ちょうちんへの展示には、ただ単に金魚に光を灯すだけでなく最先端の技術と組み合わせた演出にするため、マッピングができるイルミネーション「Twinkly PLUS Bulb(トゥインクリー プラス バルブ)」を活用しました。金魚ちょうちんに電球色以外の光を使うのは今回が初めての試みでした。金魚ちょうちんにはさまざまなサイズがありましたが、一番サイズの小さい金魚ちょうちんにはソケットが入らないという問題もあり、祭りの元々のあり方と「Twinkly PLUS Bulb」で対応できる形を慎重に検討しながら進めました。点灯式には柳井市の副市長も来場され、新しい光の表情が生まれた瞬間を見届けていただきました。
さまざまなサイズの金魚ちょうちん
また、今回ご紹介した別注対応の光のほかにも、日本あかり博×けやきライトパレード by FeStA LuCeのなかではさまざまな光のアイテムを展示しており、青森ねぶた祭とネオンサインを組み合わせた演出や、展示ブースに施されたネオンサインによる光のライン、さらにはタカショーデジテックが手掛ける新しい和の屋外照明ブランド『yomosugara』などが展示されました。
日本各地に根付くあかりの文化は、それぞれに固有の形と意味を持っています。今回の日本あかり博への関わりは、地域の文化に技術で貢献できるという手応えをあらためて感じさせてくれる機会となりました。標準品の提供にとどまらず、用途や条件に応じた別注対応という形でも力を発揮できる。地域の個性に寄り添いながら、光という手段で課題を解決していく関わり方を、これからも積み重ねていきたいと考えています。
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