世界にひとつのランタンで 光と親子の思い出づくり

和歌山市の玄関口、JR和歌山駅。その駅前から続くメインストリート「けやき大通り」の延長約2kmをイルミネーションでつなぐプロジェクト「KEYAKI Light Parade」。2年目の開催となった2024年も、イルミネーションと共にまちの活性化を目指す「ウォーカブルなまちづくりワークショップ」が開かれ、タカショーデジテックからも3人が参加しました。
2023年に展開したのは、まちの店舗をライトアップしイルミネーション以外のエリアへの回遊を促す「テラスポット」でした。今年はまた違う視点で光を体感してもらう取り組みとして「けやきランタンナイト」を実施。今回の取り組みの企画に携わった本社Criative Lab.の岩根明チーフと営業部兼総務部広報課の辻紘規さん、大阪オフィスCreativeLab.の村田雅さんに、当日の様子やイベント前後の思いについて伺いました。

\2023年に行われた「テラスポット」についてはこちら!/

記憶に残る夜の思い出を作りたい

―――今回の企画ができた経緯を教えてください。

岩根:「KEYAKI Light Parade」のサブテーマが「Night Out(ナイトアウト)しよう!」というもの。それに則り、ナイトアウトできるイベントを企画しようというのがこのワークショップの狙いです。そこに対してデジテック社員として何をしようかと考えるところからスタートでした。

辻:実は僕自身入社して1ヶ月くらいの頃だったので、去年のこともわかりませんし、個人的には本当にゼロからのスタートでした。そんな中で開かれた「ナイトタイムエコノミー」の先進事例などを聞くトークイベントがヒントになったと思っています。

村田:講師の伊藤さんが「まちが活性化するのはどういう瞬間か」というのを話してくれたんですが「おじいちゃんおばあちゃんも子どもも、ベビーカーを押しているようなお母さんも車椅子の方も、同性カップルも妊婦さんも、どの属性の人も楽しめるということが成功」という部分に共感したんですよね。

けやきランタンナイトを企画した3名の様子
左から辻さん、岩根さん、村田さん

岩根:イルミネーションは夜にやっているものなので、どうしても大人が中心となる。じゃあ大人ではなくあえて子ども向けのイベントを仕掛けたらおもしろいんじゃない?という風に。子どもの時って夜に出歩くことが少ないじゃないですか。自分自身、子どもの頃に家族で夜の散歩に出かけることがあったんです。子どもにとって夜は暗くて怖い。でも周りの大人たちが談笑しながら歩いているので安心して歩けるんですね。そういう記憶って思い出として残るなと思ったんです。僕はその時に咲いていた沈丁花の花が今も記憶に残っています。

村田:確かにお父さんお母さんについてコンビニまで歩くだけでわくわくしたものですよね。

辻:そんな風に20年、30年経った時に「非日常な冒険気分を味わったな」と思い出してもらえたら嬉しいなと思って企画しました。わりと早い段階で「子ども」というキーワードに辿りつけたので、いわゆる産みの苦しみや迷走がなく企画を進めていくことができたように思います。

初の試みにチームワークで挑戦

―――どのようにイベントの準備を進めていったのでしょうか?

辻:だいたい大筋が決まったところで、3人で役割分担していきました。僕は前職で役場の観光課にいて進行管理には慣れていたので、立ち上げ準備から進行管理を、村田さんはデザインと制作、岩根さんは社内外の各種調整やライトの調達など、システマチックにそれぞれの得意分野を担当していきました。

けやきランタンナイトの立ち上げ準備や進行管理等を担当した辻さん
立ち上げ準備や進行管理等を担当した辻さん

岩根:去年のテラスポットもおもしろい取り組みだなと思っていたので、ワークショップに参加したあと、それぞれで一度去年の参加者に話を聞きにいったりもしました。そこで子育ての話題になったことも、今回の企画につながっています。

村田:ランタンという案に行き着いたのは、私の体験からでした。二条城のライトアップを見にいった時に、提灯にライトを灯すと足元に桜の柄の影ができて、それを持って歩くと自分も楽しく景色も華やかになったんです。今回も「光を持って歩く」ことで、参加した人たちも光の一部になるような光景を作れたらなと。ただ、できあいのキットを買ったわけじゃないので、素材や形を考えて、試作はたくさん作りましたね。牛乳パックか段ボールか、プラ板か、形は円柱形がいいのか、三角錐がいいのか。100均で買った光源を入れて発光を見てみたり、チーム内でわいわい試行錯誤しました。

けやきランタンナイトのランタンのデザインやイベント資料の制作などを担当した村田さん
ランタンのデザインやイベント資料の制作などを担当した村田さん

岩根:そこは本当に村田さんが頑張ってくれました。いろんな素材や形を作ってくれたり、当日には貼るだけのパーツを作ってくれたり、スタンプラリーの台紙やスタンプのデザインもしてもらいました。

村田:六角形を何十個も切るのが大変でした(笑)。

辻:デジテックでこういった対外的な親子向けのイベントは実は初めてだったんですよね。大変と思ったことはそんなになかったですけど、不安に思っていたのが僕たち3人が熱量高く喋っているけれど、本当に親子に刺さるイベントなのかということでした。エントリー1組目が来るまで不安でしたが、蓋を開けると満員御礼で終えることができてよかったです。ただ、当日の時間配分が読み切れていなかったのは反省点でした。

岩根:楽しんで会話しながら作るので思っていた以上に時間がかかってしまったのは今後の課題ですね。あとは当日の運営。スタッフも20組に対して自分たち3人だけはちょっと少なかった(笑)。僕たちは集合から解散までずっと動いてる状態でしたから。でもみんなちゃんとランタンの形を作って終えることができたのでよかったです。

けやきランタンナイトの社内外の各種調整やライトの調達などを担当された岩根さん
社内外の各種調整やライトの調達などを担当された岩根さん

笑顔も輝く一夜、そして…

―――当日の様子を教えてください。

辻:ワークショップでランタンを作って、それを持って記念写真を撮り、そこからスタンプラリーで駅前まで歩いてもらうという流れでした。スタンプラリーはポイントが3箇所あって道中のヒントを元に和歌山にまつわるお楽しみクイズに答えてもらうように工夫して、楽しく歩いてもらいました。

けやきランタンナイトのオリジナルランタンづくりの様子①
けやきランタンナイトのオリジナルランタンづくりの様子②

オリジナルランタンづくりの様子

村田:ランタンは、子どもならではの柔軟な発想が多かったですね。白い部分をくり抜いてセロハンを貼り付けたり、上のフレーム部分にもはみ出してセロハンを貼っているのは大胆でいいなあと思いました。

岩根:想像していたよりも子どもたちが楽しんでくれて、それぞれオリジナリティのあるランタンを作ってくれたのが嬉しかったですね。

辻:地味な作業は保護者さんたちが手伝ってくれて(笑)。子どもからの「これ書いて!」にお父さんお母さんたちめっちゃ頑張ってましたよね。

村田:とにかくみんな楽しそうだったし、後日いただいたアンケートでも「和歌山のまちを歩くのもいいですね」「歩くとこんな場所があるんだと新しい発見ができた」「ランタン持って子どもと歩くのが楽しかった」「最高の思い出ができたよ!」という声を聞けて、本当にやってよかったなと思いました。

オリジナルランタンをもって歩いている様子
ランタンをもって歩いている様子
けやきランタンナイトのスタンプラリーに参加している様子
スタンプラリーの様子

―――そもそも皆さんが参加したきっかけは何だったんでしょうか?

村田:昨年は大阪オフィスの先輩が参加したんです。県外からなのでどれだけ参加できるだろうとは思ったんですが、「できるなら」と手を挙げました。

辻:僕は最初に言ったように入社して間もない頃だったので、つながりや知見を広げる意味で参加してはどうかと声をかけてもらい参加を決めました。

岩根:僕も広報のマネージャーからある日突然声がかかって参加してみることにしたんですが、この3部門が一緒に何かするってことがないので面白かったですね。うまくいったかどうかで言うと、すごくうまくいったと思います。皆さんすごくお人柄がいいなと思いました。

辻:本当にコミュニケーションが迅速に取れたと言う部分でも業務が滞らなくて、業務的にも人間的にも円滑にいけたと思っています。

けやきランタンナイトの取り組みを振り返っている様子①
けやきランタンナイトの取り組みを振り返っている様子②
けやきランタンナイトの取り組みを振り返っている様子③

取り組みを振り返っているときも笑顔が絶えないメンバー

―――参加してみた感想は?

辻:やっている側も楽しかったですね。イベントで人を楽しませるからには、自分たちも楽しまないと。期間中に灯していたイルミネーションを家に持ち帰ろう という意味で、本当は最終日にできたらよかったんですが、最終日が平日だったのでその前の週末に設定しました。長期的なイベントってどうしてもオープニングは盛大だけど最後は寂しい。そこも課題かなと思っていて、このランタンイベントが「KEYAKI Light Parade」のフィナーレの定番イベントになればと妄想で考えてます。普段の自分の業務はWEBを通したアプローチばかりで、お客様の顔が見えていません。こういうリアルなイベントでリアクションをダイレクトに見て感じることができ、親子で楽しんでいる笑顔や会話を見聞きできたのがよかったです。

岩根:僕も日頃は商品企画をしていますが、直接人と接するすごくおもしろい経験ができました。スタンプラリーの担当をしていると、ゴールしてくれたお子さんが「ありがとう! めっちゃ楽しかったわー!」て言ってくれて泣きそうになったし、アンケートでも子どもが最高の思い出だと書いてくれてるのを見てまた泣きそうになりました。

村田:お2人とかぶりますが、一番よかったと思うのは、自分の企画を通してリアクションを直に感じられたこと。子どもたちがランタンを作って実際に歩いて楽しんでくれているのが伝わってきました。参加した段階ではまだ入社1年目だったので、自分の意見が反映できて嬉しかったです。3人という少人数なので意見も言いやすかったですね。いろいろアドバイスももらえるし、その環境で自分のやりたいことを伝えつつ動けたのがよかったです。

辻:今回ゼロから企画を立ち上げて、うまく運営できるようになったらノウハウができる。この3人で考えたことをうまく活用してもらって何かにつながればいいなと思います。

けやきランタンナイトの今後について話し合う3名

3人のチームワークで大成功を収めた初の親子イベント。「今もランタンを持って家の中を歩いてます!」といった微笑ましい声をいただき、スタッフ一同ほっこりしています。

「KEYAKI Light Parade」はまた冬に開催予定。今後も光のストリートと共に和歌山の夜の思い出を彩ることができればと思っています。

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この記事を書いた人

CreativeLab.

『Creative Lab.』は、光を中心に屋外空間にイノベーションを起こすクリエイティブチームです。 デザインやアイデアで光の価値を創造するデザイン・企画チーム(AC)と、技術・開発で光の価値を創造する設計開発チーム(DC)で構成されています。 AC / DCで連携を取り、あらゆる屋外空間に合う光や価値を考え、新しくてワクワクする提案を行っています。

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