こんにちは。いつもお世話になっております。
DIGITEC SIGN NEWSをご覧いただきありがとうございます。
2025年が皆様にとって実り多き一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
気が付けば1月ももう後半に入り、20日には二十四節気の一つ、『大寒』を迎えました。
一年で最も寒さが厳しいとされる時期ですが、そんな寒さに打ち克つべく寒中水泳や寒稽古といった伝統的な行事は今もニュースなどで目にします。観ている側も震えてきそうですが、精神力や集中力を鍛え免疫力を向上させる効果があるとのこと。何か新たなことにチャレンジしてみたいという方、いかがでしょうか。
今回は先月に続き 『参考にしたい 映画から学ぶネオン演出術。』の後編をお届けいたします。
今後のお仕事のヒントに繋がるようでしたら幸いです。また、2月に出展いたします展示会についてのご案内もございますので、ぜひ最後までご覧ください。
\先月号を見逃した方はこちらからご覧いただけます!/
12月号のメルマガはこちら ≫参考にしたい!映画から学ぶネオン演出術 ~後編~
サイケデリック系
~『アイズ ワイド シャット』『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』『ドアーズ』~
最近あまり耳にしなくなった「サイケデリック」という言葉。ネット辞書には「幻覚や陶酔状態を想起させるさま」と説明されていますが、アートの世界では派手な原色を使った作品を形容するケースが多いです。
『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』などで知られるスタンリー・キューブリック監督。遺作となった『アイズ ワイド シャット』(1999年)もまた淫靡な世界を描いており、妖しさが溢れています。特に印象に残るのが貸衣装店「Rainbow」でしょう。その名の通り、「虹」をイメージしたエントランスのネオンサイン。なかなかデザインも洒落ていて「欲しい」と思われた方もいるのではないでしょうか。現在、ロンドン北東部に実在するカフェに飾られており、実際に見ることもできるそうです。一度は目にしてみたいですね。
他のシーンでも窓や店内に七色のイルミネーションが飾られており、世紀末の華やかでいて混沌とした空気がフィルムの中に閉じ込められています。完璧主義者として知られるキューブリック監督は1つのシーンで何度もやり直しを求め、当初18週間の予定で組まれていた撮影スケジュールは46週までずれ込んだそうです。ギネスブックに「撮影期間最長の映画」という部門で認定されており、トム・クルーズの次作のクランクインが大幅にずれ込んだという逸話も。
『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』(2021年)もまた極彩色のビジュアルで好みが分かれる作品。監督は「次世代のタランティーノ」の呼び声高いアナ・リリ・アミリプール。なかなかの暴走ぶりです。12年間、精神病院に隔離されていた主人公が特殊能力に目覚め、サイケな音楽が鳴り響くニューオーリンズへ逃避行。黄色のネオン管風タイトルロゴが示すように劇中シーンでもネオンの刺激的な光がライティング効果として登場人物を毒々しく照らしています。アンダーグラウンドなナイトラウンジ空間構築を検討されているのであれば参考にしてもらいたいです。
もう一本。1960年代の代表的なサイケデリック・サウンドといえば「ハートに火をつけて」や「まぼろしの世界」などでヒットを飛ばしたバンド「ドアーズ」。ボーカルのジム・モリソンは27歳の若さでこの世から旅立ちました。その半生を描いた伝記的映画が『ドアーズ』(1991年)です。
ライブハウスやバーのシーンでは当時を再現したネオンが演出効果として登場します。監督が社会派のオリバー・ストーンなのでサイケ色はそこまで強くないのですが、モリソンの生き方がかなりぶっ飛んでいるので観る時は覚悟が必要です。
サイバーパンク系
~『ブレードランナー』『未来世紀ブラジル』『ゴースト・イン・ザ・シェル』~
LEDの技術革新とコストダウン化により、店内装飾でネオンを採り入れるのが近年トレンドとなりました。2023年に開業した新宿の東急歌舞伎町タワーはその代表例。各階、趣向を凝らしたギラギラなネオンサインで埋め尽くされ、電脳世界さながら。SNS映えするスポットとしても注目されています。
©Bandai Namco Amusement Inc.
例えるならば「電脳世界」。ミドル世代ならば『ブレードランナー』(1982年)を真っ先に思い浮かべるのではないでしょうか。舞台設定は2019年のロサンゼルス。製作時からすると30年以上先の未来を描いており、酸性雨が降りしきる人口過密都市にネオン広告がギラギラと光っているシーンは、公開当時も話題になりました。中でも印象的なのが高層ビル壁面に投影される「強力わかもと」のサイネージ。平成世代にとっては映画内の架空広告と思われているようですが実在する商品です。
この世界観を創ったのはリドリー・スコット監督。イギリス出身で、美術大学ではグラフィックデザインや絵画、舞台美術を専攻。卒業後はセットデザイナーの仕事に携わった時期もあったそうです。日本を舞台にした『ブラック・レイン』や最新作『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』などでも細部に渡りデザインにはこだわっており、街並みは新宿歌舞伎町や香港をモチーフにしたと語っています。そして実作業を任せたのがアメリカの工業デザイナーのシド・ミード。当初は車両デザインのみの予定だったのが本人の仕事に対するポリシーもあって、都市の外観や小道具に至るまで全てをデザインしたそうです。前述の「強力わかもと」も彼のアイデアとされています。
『未来世紀ブラジル』(1985年)もまた独特の視覚イメージでカルト的な人気を博しています。本作のオリジナルロゴもピンク色のネオンを模したもの。監督は鬼才 テリー・ギリアム。元アニメーターの性分なのか底知れぬ想像力(創造力)で脳内イメージを美術セットに具現化させます。サムが逃避行するシーンでネオンは不安を助長するかのように画面上に頻繁に現れます。ショッピングモール内、クリスマスディスプレイでもある巨大な赤の渦巻き。教会の十字架や道標的な青のネオン。ダクトが張り巡らされた街も当時の映画美術としてかなりハイレベル。それもそのはず、製作費2000万ドルの大半はセットに使われているのですから。
もう一本は『オルタード・カーボン』(2018〜2020年)にするか迷いましたが、サイバーパンクといえば外す訳にはいかない『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017年)をチョイス。士郎正宗の『攻殻機動隊』が原作のこちらの作品は、主人公の草薙素子役にスカーレット・ヨハンソンをキャスティングしたことでちょっとした物議を醸しました。香港を中心に撮影された街並みはまさにサイバー。宙に浮かぶ魚や仏像などの巨大ホログラム。ネオンも前述の歌舞伎町タワーさながらに雑多な賑わいを演出しています。ナイトクラブ“サウンドビジネス”の妖艶なマリンブルーのネオン照明も実にクール。とにかく光が美しい作品です。
アジアン系
~『恋する惑星』『天使の涙』『燈火(ネオン)は消えず』~
先ほどの『ゴースト・イン・ザ・シェル』でも触れたように、香港はかつてアジアにおけるネオン文化の象徴でした。世界三大夜景の一つとも称えられる「香港100万ドルの夜景」。観光名所でもある標高552メートルのビクトリアピークから眺める煌びやかな光は豪華絢爛なネオン看板が大きく寄与していています。アジアでありながらどこか無国籍。それはかつてイギリス領土だったことも影響しているのでしょう。
アジアンなイメージ
中国返還が迫った90年代前半。そんな香港をスタイリッシュに描いたのが『恋する惑星』(1994年)です。監督はウォン・カーウァイ。手持ちカメラによる疾走感あるフレームワークや早送り&スローモーションを多用した演出手法は当時斬新でした。冒頭、刑事役の金城武がネイザンロードで犯人を追いかけるシーン。ぶれた画面にはネオンの光が残像のように線を描きます。漢字でなく英語のサインが多いのもポップさを感じる要素のひとつかもしれません。
同じウォン・カーウァイ作品『天使の涙』(1995年)は、もともと『恋する惑星』のプロットの一部だったと言われています。超広角レンズを多用し、九龍(クーロン)や尖沙咀(チムサーチョイ)といったロケーションをダイナミックに描いています。走るバスの車窓から見え隠れするネオン。街並みを切り取っただけなのに、あたかもこの作品のために作られたかのようなスタイリッシュさ。撮影カメラマンを務めたオーストラリア人、クリストファー・ドイルの手腕によるところが大きいかもしれません。
最後にどうしても紹介したいのが『燈火(ネオン)は消えず』(2022年)。香港のネオン職人ビルの死後、妻メイヒョンが夫のやり残した最後のネオンを完成させようと奮闘する物語です。
かつて香港の夜景を彩っていたネオンサイン看板も2010年の建築法等改正以来、高さや大きさに制限が設けられ、10年間のうちに9割が違法と見做され撤去。クレーン車で大型ネオンを撤去作業する映像もインサートされ、香港の街から姿を消していく様子が描かれています。
LED化の波が進み、職人は次々と廃業。そんな中、ビルは最後までガラス管にこだわるも、借金は膨らむ一方。生活苦の中、娘の進学などもあり家族仲にも険悪なムードが漂います。
しかし、夫を失ったメイヒョンは彼の生きた証を辿るうちに考え方を一変。ビルの工房で出会った弟子と名乗るレオと共に、彼の遺志を継いでネオン作りに挑戦します。ガラス管を熱して曲げ、文字をつくる。「ネオンは光の書道」という台詞が出てきますが、コンピュータもない時代から手書きで下絵を作る工程はまさに書道に近いものがあります。エンドロールでは実際のネオン職人も紹介。
「ネオンには神様がいる」、言葉の意味はぜひ作品でご確認ください。きっと今以上にネオンサインが好きになるはずです。
「参考にしたい!映画から学ぶネオン演出術 」を
↓ まとめて読みたい方はこちら! ↓
第53回 国際ホテル・レストラン・ショー出展のご案内
※昨年の出展時の様子
株式会社タカショーデジテックは 2025年2月4日(火)〜7日(金)に東京ビッグサイトで開催されます『第53回 国際ホテル・レストラン・ショー』に出展いたします。
ホテル・旅館における屋外照明の価値 / シーン展示 / 照明計画サポート / 商品ラインアップなど、オーナー様や設計者様を対象に光の魅力を届けるブースとなっております。期間中には照明デザインの担当も参加し、会場で直接「光」についてご相談いただけます。
また屋外照明だけではなく、LEDサインやイルミネーションも展示しております。
出展概要
【日時】
2025年2月4日(火)~7日(金)
10:00~17:00(最終日16:30まで)
【会場】
東京ビッグサイト 東展示棟 1-6ホール
〒135-0063 東京都江東区有明3丁目11-1
【出展小間位置】
東4ホール (4-V18)
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
これからも当社の最新ニュースを皆様にお届けしてまいります。
どうぞ引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
\ DIGISPOT最新情報はこちら /
タカショーデジテックはLEDサイン、ライティング、イルミネーションの最新情報をお送りするメールマガジンを発行しています。