光と音で観光事業の新たな魅力を創出 国の名勝「旧竹林院」夏のライトアップ
写真スポットとして人気!
滋賀県大津市”旧竹林院”とは
比叡山の麓、滋賀県大津市坂本にある「旧竹林院」。古くから比叡山延暦寺の門前町として栄えた坂本には多くの里坊(さとぼう)が残されており、一帯は国の重要伝統的建造物郡保存地区に選定されています。里坊とは延暦寺の僧侶が隠居所として里に設けた邸宅で、旧竹林院はその一つ。母屋と、約3,300平方メートルの広さを誇る庭園からなり、八王子山を借景とした名勝庭園に指定され、園内には2棟の茶室と四阿(あずまや)が配されています。
地形を巧みに利用した風情ある庭園。その美しさを活かし、魅力をさらに高めようとびわ湖大津観光協会様 主催で企画されたのが今回ご紹介する夏のライトアップです。もともと写真撮影スポットとして知られていて、秋のライトアップが有名な旧竹林院ですが、今回は初の夏開催ということで、昼間とは一味違う夏の旧竹林院らしい荘厳さを感じていただけるよう、タカショーデジテックのプロ集団がライティングプランのご提案から施工まで一貫してプロデュースしました。
ライティングプランの提案から
照明器具の施工までトータルサポート
冒頭の紹介でも少し触れましたが、旧竹林院ではもともと秋に行うライトアップが有名で、2019年から紅葉に合わせたライトアップが行われてきました。そんな旧竹林院で新たな取り組みとして行われたのが、今回の夏のライトアップです。広告代理店様を通じてご依頼いただき、びわ湖大津観光協会様と3社で打ち合わせを行いながらライトアップのイメージを決めていきました。夏にしか感じることができない旧竹林院を表現するため、豊かな自然と歴史的な建造物を活かすライトアップをご提案。さらには、照明器具の施工までタカショーデジテックで一貫して手がけました。
今回の夏のライトアップのコンセプトは、夏山を表現する「山滴る(やましたたる)」という季語を用いた「山滴る夜のものがたり」。暑さと涼しさが入り混じる夏の夜に、草木の葉で覆われ緑が滴るように見える美しい庭園で過ごしていただく時間を魅力的に演出できるようプランニングしました。夏ならではの演出として、カラーライティングに音楽を組み合わせた光のショーをご提案。プランニングでは、新しい器具のご提案だけでなく、びわ湖大津観光協会様の方で所有されている既存の照明器具をうまく活用する方法もご提案しました。既存器具を使うにあたって、照明器具1台1台が照らす場所でより効果的な光になるように、照明用の特殊フィルターの取り付けなどもプランニングに組み込んでいます。
また、今回の演出のもう一つのポイントである音楽は、ライティングディレクターだけではなく、担当営業や施工部隊のメンバーなど今回のライトアップの関係者全員で意見を出し合って選定。これまでにない視点から音楽のご提案をしたことで、びわ湖大津観光協会様からは、これまでの秋のライトアップなどでは採用したことがないチャレンジングな選曲だがぜひやってみましょうとのお言葉をいただきました。実際に決まった約3分の曲を組み合わせた光のショーには夏らしさを演出するためではなく、演出に動きを加えることで、現地に行かなければ味わえない没入体験型のライトアップに仕上げるという意図も。そのため音楽と光の調和性にはとことんこだわり、現地で約2日間かけて細かな調整を行いました。
こうして光・音楽どちらの演出においても細部までこだわったことで、コンセプトである「山滴る夜のものがたり」をしっかりと表現したライトアップに仕上がりました。もともと滋賀の一部のローカルのメディアにしか広告していないライトアップ企画でしたが、SNSで話題となったこともあり、カメラの愛好家はじめ多くの来訪者に喜んでいただき、大津の新たな魅力を発信する場となりました。
国の名勝を彩る
庭園ライティングプラン
ここまでコンセプトや今回の取り組みをご紹介しましたが、旧竹林院に施されたライトアップを実際の写真と一緒に見ていきましょう。
駐車場から始まる、
期待感を高める演出
夏のライトアップ開催期間中は、高い木を中心に行灯と共に駐車場の周囲を囲むように演出。明るくすることで遠目からでもライトアップが行われている様子が伝わるよう調整しました。山門を抜けると続くアプローチには、有機的な陰影を出す行灯に色をつけ、石畳を華やかに演出。赤、黄、青と建物までの動線を美しくライトアップすることで、昼間とはまた違う表情を醸し、訪れる方の期待感を徐々に高めるような演出にしました。
季節や空間に合わせた光と音の演出
ここからは庭園の演出をご紹介します。フォトスポットとして知られている旧竹林院では、主屋で庭園のリフレクション撮影を楽しめるように、漆黒のテーブルが置かれています。夜のライトアップでも、それらを活かし漆黒に光が映り込むことでより幻想的でフォトジェニックな空間になるよう調整しています。建物からのパノラマ全体に光が行きわたり、八王子山の借景をダイナミックに感じられるよう演出しました。
こだわりの音楽を取り入れたライトアップでは、ゆったりとしたBGMが流れる中での通常演出と、その合間に音楽に合わせた光の演出を織り交ぜています。現地での調整を重ね、写真撮影しやすいよう光の色の動きをゆっくりとした演出に仕上げました。
では、夏を表現する光の演出のそれぞれの違いをご紹介していきます。
華やかな夏の演出
華やかで様々な色彩が音楽に合わせてテンポ良く変化し来場者を惹きつけます。芝生にもRGB照明を使用し、空間全体を演出しています。
清涼感を感じる演出
庭園全体が青系色で染め上がる中で石灯籠や四阿や茶室の一部が浮かびあがります。石灯籠にはロウソクのような心地よい揺らぎをかもすLEDを使用。見た目も涼しげな日本庭園を演出しています。
自然の美を発信する演出
430年の歴史がある緑の色彩を印象的に浮かびあげるような演出です。他の演出とは異なり、光の色を控えめにすることで緑を鮮やかに魅せます。
幽玄さを感じる演出
目の前に広がる森の明かりがゆっくり消えていき森の奥が青い光に包まれ、建物が見え隠れする演出。今までのライトアップにはない陰影を活かした空間に。
これらの様々な光の演出が切り替わることで、夏の夜の山ならではの荘厳さを様々な雰囲気で感じていただけるライトアップに仕上げました。
主な使用器具
※自社製品の他にも、光の演出に最適な照明器具を選びご提案いたします。
ライティングされる場所を活かし、丁寧にデザインされた光がもたらす非日常の感動を訪れる皆様へ。昼間とは違った特別な時間を過ごせる場所づくりをタカショーデジテックが叶えます。ぜひ一度ご相談ください。
旧竹林院
〈旧竹林院についてのお問い合わせ先〉
公益社団法人びわ湖大津観光協会
〒520-0037 滋賀県大津市御陵町2-3市民文化会館内
TEL:077-528-2772
HP:https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/1284/
Credit
照明ディレクター:山下匡紀 / MASAKI YAMASHITA
株式会社タカショーデジテック Creative Lab.
企画グループ ライティングデザインチーム
武蔵野美術大学 非常勤講師
富山市景観まちづくりアドバイザー
2015年度グッドデザイン賞 復興デザイン受賞
2018年度グッドデザイン賞100 受賞
2022年度日本空間デザイン賞 LongList(入選)
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