静寂に寄り添う光が、庭と湯の時間を包み込む 下呂温泉“こころをなでる静寂 みやこ„の光の演出

静寂の空間に
夜の景観づくりの光を

こころをなでる静寂 みやこのリニューアルした中庭の様子

岐阜県・下呂温泉に佇む「こころをなでる静寂 みやこ」。お庭の改修をきっかけに、夜の景観づくりを見直したいと相談をいただいたのが今回のプロジェクトの始まりでした。タカショーデジテックが出展していた展示会で生まれたご縁がきっかけでしたが、オーナーさまはもともと光への関心を高く持っている方で、高付加価値補助金を活用しながら“宿の世界観に合う夜のあかり”を整えたいという思いをお持ちでした。ご相談をいただいた当初(リニューアル前)の庭は樹木が鬱蒼と茂り、既存の照明も光が欲しい場所へ十分に届いていない状態。さらに、樹木が生い茂っている状態であるがゆえに正確な図面もないところからのスタートでしたが、ウッドデッキの改修計画と合わせて、動線の見直しや光のレイヤーづくりを提案していき、宿全体の印象が穏やかに整う夜景を目指しました。またお庭の先にある露天風呂や大浴場のライトアップも同時に手掛けました。

こころをなでる静寂 みやこのリニューアルした中庭の日暮れ前の様子①
こころをなでる静寂 みやこのリニューアルした中庭の日暮れ前の様子②

リニューアル後のお庭の様子(日暮れ前)

こころをなでる静寂 みやこのリニューアルした中庭の夜の様子①
こころをなでる静寂 みやこのリニューアルした中庭の夜の様子②

リニューアル後のお庭の様子(夜)

庭を彩り“歩きたくなる動線”をつくる光

今回の光の演出のメインはやはりお庭。室内のお食事処から眺められるだけでなく、露天風呂への動線にもなっているこの場所を、夜に“歩きたくなる”場所へと変えていくために、まずはやわらかな光で導く間接照明をウッドデッキ下に統一して配置しました。
さらに、和風ライトの「かぎろい」であかりだまり(光が集まった明るいポイント)をつくることで、お食事処からお庭を眺めたときにしっかりと「ライトアップされている」ことが伝わり、視線をお庭に誘導する工夫も施されています。また、この「かぎろい」自体にも工夫がされており、通常仕様では黒の土台がセットになっているのですが、その土台を外した別注仕様で仕上げることで、ウッドデッキの素材との相性がよい見た目に調えられています。

ウッドデッキ下に仕込まれた間接照明
ウッドデッキ下の間接照明
あかりだまりづくりに取り入れられた別注の和風ライト「かぎろい」
別注仕様の「かぎろい」

光での動線づくりのほかにも、秋に色づくカエデの紅葉を演出するためのスポットライトでの演出や、お庭の石材や苔の表情を見せるため小型のスポットライト(ツリースポットライト)など、夜の景観づくりのための光の演出も取り入れられました。樹木をライトアップするスポットライトは実際に弊社のライティングプランナーが現地でシューティングを行い、お庭を散策する人が眩しさを感じないように光源が見えない配置を徹底したり、樹木が美しく見えるように照明の角度や光量を現場で細かく調整して仕上げました。

美しくライトアップされたカエデ
美しくライトアップされたカエデ
苔や石を照らすために設置されたツリースポットライト
苔や石を照らすために設置された
ツリースポットライト

こだわったのは照明器具での演出だけではありません。タカショーデジテックがご提案するローボルトの照明には、電圧を抑えるためのトランスが必要不可欠です。今回のこの中庭は広く、また演出に必要なライトの台数も多かったため、容量が大きいトランスを庭の中心に設置する必要がありました。しかしせっかく自然が美しい空間の真ん中に、唐突に機械的なものがあっては違和感が出てしまいます。そのためお庭の施工業者の方と連携しながらトランスのまわりに木枠の囲いを設けてもらい、存在が目立たないように配慮しました。

景観に溶け込むために木枠に囲まれたトランス
木枠に囲まれたトランス

露天風呂を包むあかりの設計

リニューアルされた露天風呂①

貸切露天風呂や大浴場まわりも、光の印象を大きく変えたエリアのひとつです。
殺風景に感じられていた壁際のスペースには、間接照明を壁面に一本、まっすぐ差し込むように追加。それだけで空間の陰影が整い、隠れ家を連想させるひっそりと楽しめる雰囲気の空間が生まれました。機能性と景観性の両立を図りながら、温泉の時間を静かに引き立てる光の環境を整えました。

リニューアルされた露天風呂②
リニューアルされた露天風呂③

主な使用器具

和風ライト「かぎろい」の商品イメージ

かぎろい
※本案件では別注仕様

Meridiano フロア 460の商品イメージ

Meridiano フロア 460
※販売取扱は終了しております。

Meridiano フロア 320の商品イメージ

Meridiano フロア 320
※販売取扱は終了しております。

※自社製品の他にも、光の演出に最適な照明器具を選びご提案いたします。

今回の「こころなでる静寂 みやこ」のライトアップでは、お庭の夜の景観が美しくかつ過ごしやすい空間になるよう、足元の間接光や樹々を照らすスポットの角度、眩しさを抑えた光の当て方まで丁寧に調整を重ねました。また、かぎろいを別注仕様で組み込むなど、素材や空間に寄り添う光のあり方を細やかに整えています。夜の時間にそっと寄り添う光は、宿の風景を静かに深めてくれます。
空間の魅力を新しく描き出す“光の演出”を、ぜひ取り入れてみませんか。

Credit

照明ディレクター:山下匡紀 / MASAKI YAMASHITA
営業部 ライティングデザイングループ 兼
Creative Lab.AC  東京オフィス
マネージャー

武蔵野美術大学 非常勤講師
富山市景観まちづくりアドバイザー

2015年度グッドデザイン賞 復興デザイン受賞
2018年度グッドデザイン賞100 受賞
2022年度日本空間デザイン賞 LongList(入選)

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この記事を書いた人

CreativeLab.

『Creative Lab.』は、光を中心に屋外空間にイノベーションを起こすクリエイティブチームです。 デザインやアイデアで光の価値を創造するデザイン・企画チーム(AC)と、技術・開発で光の価値を創造する設計開発チーム(DC)で構成されています。 AC / DCで連携を取り、あらゆる屋外空間に合う光や価値を考え、新しくてワクワクする提案を行っています。

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