<DIGITEC SIGN NEWS 12月号> 参考にしたい!映画から学ぶネオン演出術 ~前編~

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年の瀬も押し迫り、世間もだんだんと慌ただしくなってまいりました。
緑や赤の綺麗な光に包まれた純白の街。銀色のきらめきをした街角のクリスマスツリー。ラジオや有線から聴こえてくるこの時期定番のフレーズに思いを馳せる方も多いのではないでしょうか。

今回のメールマガジンは少々趣向を変え、ネオンサインでの演出の参考になりそうな、映画に登場するネオンサインを取り上げてみたいと思います。誰もが知っている名作から知る人ぞ知るマイナー作まで、独自の視点でピックアップいたしました。今回は前編として3つのジャンルをご紹介いたします。(後編は1月配信予定です)
年末年始、こたつで温もりながらサブスクやDVDにてゆっくりご鑑賞いただけると幸いです。

ノスタルジック系
~『雨に唄えば』『素晴らしき哉、人生!』『エルヴィス』~

まず最初にネオン管が普及した経緯を振り返ってみましょう。

1920年にアメリカ・ユタ州でトーマス・ヤングという人物が看板製作会社を設立しました。それから10年余後、ダムの建設によりラスベガスでの電力供給が可能になると予見したヤングは、ネオン看板の製作に注力。彼の会社は、ラスベガスの「サーカス・サーカス」や「ウェルカム・トゥ・ファビュラス・ラスベガス」など、多くの有名なネオン看板を製作しました。これらにより、ラスベガスはネオン看板の街として知られるようになったのです。
そういった背景もあり、華やかなショーの舞台として数々の映画でハリウッドは煌びやかに描かれています。その演出効果としてネオンサインは切っても切り離せません。

映画史に燦然と輝くミュージカル映画の金字塔、『雨に唄えば』(1952年)。
1920年代のハリウッドが舞台となっており、背景に映るクラシカルフォントの看板が当時の空気を感じさせてくれます。この作品の監督は主人公ドン・ロックウッドを演じた名優・ジーン・ケリー(スタンリー・ドーネンと共同名義)。降りしきる雨の中、明かりに照らされたショーウインドウの前で華麗なタップダンスと共に歌うシーンは映画ファンなら一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
余談ですが、このシーンの撮影時、ケリーは39.4度の高熱を出していたとか。
後半、『ブロードウェイ・メロディ・バレー』の曲に乗ってステージで繰り広げられるダンスシーン。カジノを舞台にした煌びやかな電飾サインはまさに古き良きアメリカの象徴とも言えるでしょう。デコレーションレターとも呼ばれている電球が点滅するサイン。アーリーアメリカンのテイストを検討中の方には是非参考にしてもらいたい作品です。

ネオンサイン輝くハリウッドの夜のイメージ
ハリウッドの夜のイメージ
映画「雨に唄えば」イメージのネオンサイン
『雨に唄えば』イメージのネオンサイン
※実際の登場人物・シーンとは異なります。

少し時代を巻き戻しましょう。クリスマスの時期になるとアメリカではTV放映されるという『素晴らしき哉、人生!』(1946年)。
終盤、主人公・ジョージが存在しない世界のギミックとしてネオンサインは何度もカットインします。住んでいたはずの町に『POTTERSVILLE』という見知らぬ名前の看板が立ち、モノクロ映画なのに賑やかな色を感じさせるホテルやバーのネオンが怪しく光る。アメリカン・インディアンの横顔を模したデザインなど点滅するサインも多く、80年前のサイン事情を知る上でもおすすめな作品です。

ロックンロールの先駆者として知られるエルヴィス・プレスリーの生涯を描いた『エルヴィス』(2022年)。
1950年代のアメリカを舞台に、彼が最初に才能を知らしめることになるメンフィスのレコード会社やB.Bキングが圧巻のパフォーマンスを見せる『CLUB HANDY』 といった印象的なシーンにネオンが効果的に使われています。波乱の生涯をおくったエルヴィスの光と影。そのコントラストを表しているかのようです。

80’sカルチャー系
~『カクテル』『ワン・フロム・ザ・ハート』『パリ、テキサス』~

アメリカの都市部においてナイトライフを象徴する存在へと成長したネオンサイン。
映画の中でも、ネオンサインは重要な役割を果たしています。ディスコブーム再燃の火付け役にもなった『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977年)では夜のブルックリンを舞台にカラフルなネオンサインが随所に登場します。主人公のジョン・トラボルタがカクテル光線を受けて華麗なステップを披露するシーンは今も色褪せない名シーンです。

カクテルと言えばトム・クルーズの初期代表作も外すわけにはいきません。『カクテル』(1988年)はポスターやDVDのパッケージで「cocktail」の筆記体ロゴをショッキングピンクのネオン風に表現しておりバブルに沸いた時代の残り香を感じられます。トム演じるブライアンが開店したバー「Flanagan’s Cocktails & Dreams」の店名のネオンサインはアイコンとしても秀逸。公開から30年以上経過した今もネオン柄のTシャツやマグカップが販売されているほどです。

『カクテル』イメージのネオンサイン
※実際の登場人物・シーンとは異なります。
LEDネオンサインで再現できる
イラストのイメージ

『ワン・フロム・ザ・ハート』(1982年)は『ゴッドファーザー』シリーズや『地獄の黙示録』などで知られる巨匠・フランシス・フォード・コッポラ作品。
映像美へのこだわりは凄まじく、この作品でラスベガスの街をスタジオ内に完全再現するという前代未聞のセット撮影を敢行しました。約12万5000個の電球と16kmのネオンを使用し、架空のベガスの夜を彩る壮大なセットを作り上げました。結果的にスタジオの倒産を招くほどの規模となったそうですが…。
とにかく劇中には至る場面でカラフルなネオンが登場します。ネオンの光で人物が照らされていると言っても過言ではありません。僅か数秒ですがカジノ「tropical」前に設置されたピアノを弾く手の点滅ネオンが筆者のお気に入りでもあります。ディスプレイ業界の方はヒロインのフラニーがショーウインドウの装飾をしているシーンが気になってしまうかもしれませんね。
商業施設やアミューズメントの空間デザインでネオン演出を採り入れたいと考えている方には是非観ていただきたい一本です。

『パリ、テキサス』(1984年)はドイツ出身のヴィム・ヴェンダース監督作品。彼の作風とも言えるロードムービーで、父子が車でロスからヒューストンへと向かう道中にネオンが登場します。
コレクトコールを掛けるため立ち寄ったガソリンスタンド。電話ボックスを包み込むグリーンの光。ナース姿の女性が集う妖しい部屋の壁にはイルミネーション電球。屋内や夜間のシーンを彩る色彩と絶妙なカメラ構図が美しい作品です。

アーティスティック系
~『ナイト・オン・ザ・プラネット』『エンパイア・オブ・ライト』『グランド・ブダペスト・ホテル』~

映画の中でネオンサインは、ただの装飾にとどまらず、物語やキャラクターの感情を映し出す重要な要素として機能します。
最初に紹介するのは『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991年)。
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』や『ミステリー・トレイン』で注目されカンヌ国際映画祭で賞も獲ったジム・ジャームッシュ監督。スタイリッシュな映像とオフビートなテンポが特長とも言えます。本作はロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキを舞台に、タクシードライバーと乗客の人間模様を描いた作品です。車窓に流れる景色で各国の夜の街並みが描かれます。5つのストーリーを通して街の息遣いを感じさせるのがネオンサインです。その違いを楽しんでみてください。
華やかなニューヨークやパリから一転し、灯りも少なく寂しい雪道が続くヘルシンキパート。ハンドルを握るのはアキ・カウリスマキ監督作品で知られる名優、マッティ・ペロンパー。彼もまたオフビートな演技が持ち味。ジャームッシュとの相性も抜群でした。

※画像はイメージです

続いては『エンパイア・オブ・ライト』(2023年)。
1980年代。イギリス南東部のマーケイドという海辺の町を舞台に、寂れつつある映画館「エンパイア劇場」で働くヒラリーとスティーヴンの心の交流を描いたヒューマンドラマです。「人生を照らす光は、きっとある」のキャッチコピーが指し示す通り、物語にも映像にも「光」が重要なキーになっています。スクリーンに投影される光の筋道。人生における希望の光。それはバスルームのキャンドルの灯りや海辺に広がるライトアップ、映画館の屋上から眺める花火などでも視覚的に描かれています。ロケーション選定にあたり監督のサム・メンデスは100年続くアールデコ建築が美しいショッピングモール「ドリームランド」を第一印象で決めたそうです。そのインスピレーションに間違いはなく、外観に「EMPIRE CINEMA」の黄色いネオンが見事にマッチしています。

アーティスティックな色彩美といえばウェス・アンダーソン監督を思い浮かべる方も多いでしょう。パステルカラーを基調とした独特の配色は一目で彼の作品だと分かります。最近ではスマートフォンの写真加工アプリで「ウェス・アンダーソン風フィルター」なるものも現れ一般層にも知られる存在になりました。その中で東欧仮想の国ズブロフカ共和国を舞台にした『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)はネオンの要素こそ少なめですが色彩と光の魔法に浸れる作品です。
メリーゴーランドに乗ったアガサが詩集を読むシーン。回転する背景に配置された電球のラインは、画面に温かみを生み出しています。シーンが切り替わり、今度は赤や黄色、オレンジの光がクルクルと周り、アガサの表情に陰影を与えます。一度この世界の住人になれば『ダージリン急行』や『犬ヶ島』など沼に嵌れること請け合いです。

以上、今回は前編として、ネオンサインが印象的な映画を筆者の独断でピックアップし、3ジャンルに分けて紹介させていただきました。チョイスやカテゴライズ分けには主観も入っておりますので読後のご意見など聞かせてください。「この作品でも使われているよ」といった情報もお待ちしております。
後編では「サイケデリック系」「サイバーパンク系」「アジアン系」の3ジャンルを2025年1月号で配信させていただきます。

冬期休業のお知らせ

弊社では下記の期間につきまして冬期休業とさせていただきます。
期間中はご不便ご迷惑をおかけしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

冬期休業期間  :  2024年12月28日(土) ~ 2025年1月5日(日)

最後までご覧いただきましてありがとうございました。
これからも当社の最新ニュースを皆様にお届けしてまいります。
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営業部 サイングループ

LEDサインの営業をメインに行う営業グループです。 東京オフィスと大阪オフィスを起点に、日本全国の様々な商業空間にLEDサインをはじめとする屋外の商材を提案しています。定番商品のご提案だけではなく、よりお客様の理想やイメージに近いLEDサインに仕上げられるよう、柔軟なご提案ができるよう心がけています。

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