お家を新しく建てるときだけでなく、リフォームやお家のDIYでも最近よく取り入れられるようになった、屋外のライトアップ。お家の夜の印象づくりや、お庭を夜にも楽しめる空間にできることから、お家での暮らしを見直した昨今のライフスタイルでは当たり前になりつつあります。しかし、照明器具を取り入れるためには、どうしてもプロのような専門的な知識がないと難しいイメージがありませんか?今回はそんな難しいイメージをなくせるように、ライトアップを楽しむための照明の基礎的なお話をしていこうと思います!
これだけは知っておきたい「光の要素」
今回は「これだけは知っておきたい『光の要素』」というタイトル通り、光の様々な要素の中から、覚えておくとライトアップや器具選びに役立つ3つの要素をご紹介します。普段何気なく目にしている光ですが、これから紹介する3つを意識できれば光の演出を考えやすくなります。
光源の光の「量」を表す「光束」
まず1つ目が、光源から出る光の「量」を表す「光束」で、単位は「lm(ルーメン)」で表現します。右図でいうところの赤い囲みがある光源の周りに広がっている黄色い円が「光束」のイメージです。光源からどれだけの量の光が出ているのかを表現するので、数値が大きいほど光源は明るく、照明器具で「光束」が大きいものはそれだけハイパワーということになります。しかし、明るければいいというわけでもなく、照らすもののサイズや照らす場所の広さに合わせた光束の照明を選びましょう。
実際に具体的な光源とその光束を挙げてみると、私たちが普段目にしている太陽で3.6×10^28 [lm]と言われています。数字が大きすぎて全然想像できませんね。ではもう少し身近なものを挙げてみると、昔から馴染みのある白熱球(40W相当)で485 [lm]、さらに今では一般的になったLED電球(40W相当)では485 [lm]です。
いま例に挙げた白熱球とLED電球、同じ光束ですが実は消費電力が白熱球で40W、LED電球で4.9Wと8倍以上違います。これがLED電球が省エネだと言われる理由でもあります。同じ光束で光らせようとしても、LED電球の方が白熱球の1/8のエネルギーで済むのです。こういったことも考えてみると面白いですよね。
光が「面を照らす量」を表す「照度」
2つ目が「量」を表す要素の「照度」で、先ほどの「光束」と違うのは光が「面を照らす量」を表す単位であることです。右図で言うと、テーブルの面やテーブルの上にある箱の上の面が受けている光の量です。単位は「lx(ルクス)」で基本的に表されますが、「1㎡当たりの光束の量」ということもあり、「lm/㎡(ルーメン/平方メートル)」で表されることもあります。
また、「量」を表す「光束」と「照度」ですが、「光束」はひとつの照明において変わることはないですが、「照度」は同じ照明を用いても照らす面との距離で数値が変わってきます。距離が近いと面に当たる光の量も増えるので照度は高くなり、離れると面にあたる光の量は減るので照度は低くなります。
実はこの「照度」という単位、実際に照明を使うときには「光束」と同じくらい重要で、空間にどれだけの光が必要かを判断するために使われます。特に施設などのある目的に使用する場所などでは、推奨照度が規定で定められているほどです。
照度の数字の目安として夜の屋外の例を挙げると、満月の夜の足元だと、1 lx未満で、皆さんが夜に歩く街灯のある道だと10 lxくらいです。逆に屋内の例を挙げると、オフィスの照明で1,000 lxほどで、昼間の屋外の例を挙げると夏の晴天の日向で100,000 lxもあります。
また、今回は詳しく紹介しませんが、照明にはそれぞれ照らす距離と照度の関係を示した「照度分布図」というものが存在し、ライティングデザイナー(照明で空間演出をするプロ)などは照度分布図も空間演出を考えるときの要素として活用されています。
光の「色味」を表す「色温度」
3つ目の要素が、光の「色味」を表す「色温度」で、単位は「K(ケルビン)」です。「色味」といっても赤や青、緑などそういったはっきりとした色分けのことではなく、光の温かみや白っぽさを表すのが「色温度」です。電球ひとつ取ってみても、実は色味が違います。昔の白熱球は黄色っぽかったりオレンジっぽいイメージですが、オフィスについている蛍光灯などは白っぽいイメージがありますよね。これが光の「色温度」の違いです。赤っぽさと白っぽさが対になっており、赤っぽいほど「色温度」は低く、白っぽいほど高くなります。
では実際どんなものがどれくらいの色温度なのか見ていきましょう。
赤っぽい光で代表的なのがろうそくの火です。そもそも色温度は2000Kくらいまで低くなると赤っぽい光に当たるのですが、ろうそくの火の色温度はなんと1920K!とても低いことがわかります。オレンジ色の光のイメージだと夕焼けの空が思い浮かびますが、夕焼けの空が2700Kで、電球色のイメージが強い白熱球はこれに近い2800Kです。このあたりが「電球色」と呼ばれ、温かみのある光として人工的に再現されている色味です。そこからもう少し色温度があがると白っぽさが増してきて、「昼白色」などと呼ばれる色になります。それに当たるのが蛍光灯などの光で、色温度は4200~5000Kほどになってきます。もっと白い光になってくると、曇天の空などが7000KとなりLEDで表現できる白に近い色温度になってきます。そしてさらに色温度が高くなると、白を通り越して青に近い色になってきます。それが青空の光のイメージで、12000Kです。
色々な例を挙げましたが、「色温度」のことを簡単にまとめてしまうと、色温度が低いと赤っぽくてあたたかい、色温度が高いと白や青っぽくて涼しげと覚えてください!
おまけの応用編
「光束」「照度」「色温度」と3つの光の要素をご紹介してきましたが、これ以外にも代表的な光の要素を応用編として2つご紹介します。これまでの話に比べ少し専門的なので、少々難しいですが、おまけとして見ていきましょう。
光源から出る光の「強さ」を表す「光度」
2つ目が光源から出る光の「強さ」を表す「光度」、単位は「cd(カンデラ)」です。右図では赤枠の矢印で表されている要素です。先ほどの「光束」が「量」だったのに対して、「光度」は一方向に対して光がどれくらいの強さで光源から出ているのかを表しています。光源から出る光は方向によって違うので、光源からどの方向の光度を見るかで光度の強さは変わってきます。
例えば、天井に取り付けられている電球を光源として考えると、真下に向かって出る光が一番強く、逆に天井方向は光の向きから逸れているので光は弱くなっています。この違いが、光の「強さ」つまり「光度」の違いということです。
こちらも先ほどの「光束」と同じように、光源によって「光度」は異なります。先ほども例に挙げた太陽だと2.8×10^27 [cd]で、LED電球(40W相当)が50 [cd]、白熱球(40W相当)が40 [cd]です。
光源や面の「輝き」を表す「輝度」
最後にご紹介する光の要素が、光源自体や照らされた面の「輝き(明るさ)」を表す「輝度」で、単位は「cd/㎡(カンデラ/平方メートル)」です。単位の表現を見ると何を表しているのかイメージしやすいですが、右図では男の子の目に飛び込んできている光の輝きが「輝度」に当たります。
「面に対しての単位なら、照度と何が違うの?」と思われた方もいるかもしれません。簡単に一言で表すと、「照度」は「明るさ」を、「輝度」は「眩しさ」を表すための要素です。
少し具体的な例として、同じ電球に対する「照度」と「輝度」を考えてみましょう。電球を照らしている面に近づけると、その面は明るくなる、つまり照度が高くなり、離してみるとその面は暗くなる、つまり照度が低くなります。つまり「照度」は距離によって数値が左右されるのです。一方で輝度は、電球に近づいてみても離れてみても、電球を見たときに眩しいと感じる度合いは変わりません。「輝度」は「照度」とは異なり、距離に数値が左右されない、これがこの2つの大きな違いになります。
照明の専門的で難しそうなイメージをなくす!を目標に「光の要素」をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。知っておきたい要素として「光束」「照度」「色温度」の3つをご紹介しました。「本格的なライトアップに挑戦したい」という方は、ぜひこの3つを活かして、ワンランクアップしたライトアップにチャレンジしてみてください。次は、光の見え方に関係する「光の特性」をご紹介しようと思います。光の基礎を覚えて、ライトアップをもっと楽しみましょう。
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