ライトアップがもっと楽しくなる! 知っておきたい照明の基礎知識 「眩しさ」編

お家を新しく建てるときだけでなく、リフォームやお家のDIYでも最近よく取り入れられるようになった、屋外のライトアップ。そんな屋外のライトアップをもっと身近に、もっと気軽に感じてもらうためのシリーズが「ライトアップがもっと楽しくなる!知っておきたい照明の基礎知識『○○○』編」というタイトルがついた記事で、過去に2つの記事を出しています。(まだご覧になっていない方は、先にそちらを読んでいただけると、今回のお話がもっとわかりやすくなると思います!)

では今回は、これまでの照明の基礎的なお話を踏まえた上での少し応用的なお話、「照明の眩しさ」についてです。照明を取り入れる際に気を付けておきたい「眩しさ」についてと、どうすればその「眩しさ」を感じない快適な夜の空間がつくれるのかをご紹介していきます!

これだけは知っておきたい
照明の「眩しさ」

空間をライトアップするときに気をつけると過ごしやすさがグッとあがるのが、今回紹介する照明の「眩しさ」です。では実際にどのようなことに気をつければいいのか、「眩しさ」を感じるきっかけも踏まえつつ見ていきましょう。

「不快な眩しさ」=「グレア」

晴天の青空のイメージ
日差し
車のヘッドライトを眩しく感じるときのイメージ
車のヘッドライト

「光」はさまざまなシーンで私たちの暮らしに役立っていますが、逆に、日常生活で「光」を不快に感じたことはありませんか?例えば、不意に上を向いたときに照りつける日差しや、夜道を歩いているときに向かいからやってくる車のヘッドライトなど、強い輝きが視界に入ってしまって眩しいと感じたり、目がくらんで他のものが見えづらくなった経験があるのではないでしょうか。このように光の「眩しさ」で不快感が生じたり視界が悪くなる状態のことを専門的に「グレア」と呼びます。シチュエーションに合わせて照明器具の種類や置き方に気をつけることで、「グレア」を防ぐことができます。では、実際にどのような「グレア」があるのか、どんな時に「グレア」を感じやすいのかを見ていきましょう。

「グレア」の種類

実は「グレア」にはどんな光で感じるのかなどで種類があります。大きく分類すると「直接グレア」と「間接グレア」の2種類です。その名前の通り、「直接グレア」は直接見える光によって感じるグレアのことで、「間接グレア」は間接的な光によって感じるグレアです。「間接グレア」の方が少し想像しづらいと思いますが、例えば照明がツルツルとした石材の近くに取り入れられていて、その石材に写り込んだ光がグレアに感じるときなどが「間接グレア」に当たります。直接グレアは目に見えてすぐにわかるので気を付けやすいですが、間接グレアは照明の明るさや置く場所に気を付けていても、周りの要素によって起こってしまうグレアなので気づくのが難しいです。光を反射しやすい素材が取り入れられているときは、まず間接グレアに気をつけましょう。

グレアの種類のイメージ

そして、「直接グレア」の方は、さらに「減能グレア(不能グレア)」と「不快グレア」の2つに分かれます。

「減能グレア(不能グレア)」は太陽の光や照明の光源が直接目に入ってしまったときに、物が見えづらくなる状態のことです。樹木を照らしているはずの照明の光が歩道まで伸びていて周辺が見えづらくなったり、門柱灯がまぶしくて表札が見えづらくなってしまったりするときがまさに「減能グレア(不能グレア)」です。

樹木を照らす光で周囲が見づらいときのイメージ
樹木を照らす光で
周囲が見づらい
門柱灯の光の方が強くて表札が見えないときのイメージ
門柱灯の光の方が強くて
表札が見えない

「不快グレア」は「減能グレア(不能グレア)」と違い、実際に光を見て目に影響があるのではなく、心理的に不快に感じることから生まれます。では心理的に不快に感じるとはどのような状況かというと、樹木をライトアップするときに、必要以上に明るく照らされていて周りとの明暗の差によって眩しく感じてしまうときなどがそれにあたります。空間をライトアップするときは明るければいいということではなく、必要な明るさで最適に照らすことで「不快グレア」を防ぐことができます。

光源が直接見えていなくても眩しく感じるときのイメージ
光源が直接見えていなくても眩しく感じる
最適な明るさで眩しさを感じないときのイメージ
最適な明るさで
眩しさを感じない

「グレア」を感じる4つの条件

では、実際に「グレア」を感じる状況とはどのようなときなのか。大きく4つの条件に分かれるので、それぞれの条件と対策をご紹介します。

①目が周囲の暗さに慣れている

目が周囲の暗さに慣れていてグレアを感じるときのイメージ

人の目は、暗いところに長い時間いると、明るいところにいるときよりもわずかな光でも拾えるように順応していきます。これを「暗順応」と言いますが、この状態の時に急に光が目に入ってしまうと、必要以上に眩しく感じてしまい、「グレア」につながります。

【対策】
暗順応によって光に敏感にならないように、空間全体に満遍なく光を取り入れましょう。

②光源の輝度が高い

光源の輝度が高くてグレアを感じるときのイメージ

照明器具の輝度が高ければ高いほど、光源を目にしたときに「グレア」を感じやすくなります。

【対策】
輝度が高い照明を使うときには、光源が直接見えない位置に取り付けたり、光源が人から見えなくなるようなフードやカバーをつけられるものを選ぶのがオススメです。

③光源が人の目線に近い

光源が人の目線に近くてグレアを感じるときのイメージ

照明を取り入れる位置が人の目の高さにある場合、光源が直接見えてしまうような照明だとグレアを感じやすくなってしまいます。

【対策】
人の目の高さに照明を取り入れるときには、やさしく光が広がる乳白のカバーが付いた照明や、間接光で空間を照らす照明にしましょう。

④光源の見かけが大きい

光源の見かけが大きくてグレアを感じるときのイメージ

同じ明るさの光源を使っていても、光源がはっきりと見えている場合と直接見えないようになっている場合ではグレアの感じやすさは大きく異なります。光源が直接見えてしまうと照明において光を感じる範囲も大きくなるということです。

【対策】
人が照明の近くを通る場所では光源が直接見えないようにしたり、光源が奥まった照明器具を選びましょう。

「グレア」対策で夜の空間を快適に!

快適な夜の屋外空間のイメージ

ここまで「グレア」についてたくさんお話してきましたが、人がよく出入りする場所や人が集まる場所をライトアップするときには、特にグレアに気をつけることが大切です。せっかくライトアップをして空間が明るくなっても、そこで過ごす時間が心地よいものでなければ意味がありません。「『グレア』を感じる4つの条件」の中の対策でも少し触れましたが、屋外照明の中にはグレアを防ぐための商品もたくさんあります。例えばアップライトの場合、光源にフードやカバーのつけられるアップライト(スポットライト)を選ぶことで照らしたい対象に光をしっかり当てつつ周りからは光源は見えないようにできたり、グランドライトの場合は、人が通る・見る方からは光源が見えないように光源が半分ルーバーで隠されているものを選べば、照らしたい側と人が通る側を分けることができます。さらにポールライトでも、ライトの上面が遮光されているものや下方配光のものを選ぶことで、直接人の目に光源が見えないようにしつつアプローチなど明るくしたい場所に光を採ることもできます。照明を設置したい場所が人目に付きやすい場合には、こういった商品を選んでグレア対策をしっかりとしましょう。

フード付きのアップライトのイメージ
フード付きの
アップライト
グレアカットルーバー付のグランドライトのイメージ
グレアカットルーバー付の
グランドライト
下方配光のポールライトのイメージ
下方配光の
ポールライト

過去2つの「知っておきたい照明の基礎知識」シリーズの記事から少し応用的なお話だった今回の「グレア」のお話、いかがだったでしょうか。今までの記事よりも専門的なお話が少し多かったですが、知識として覚えておくだけで過ごしやすい夜の空間演出ができること間違いなしです。基本的に覚えておきたい照明のお話は今回でラストですが、これからも、知っておくとより美しいライトアップができる照明の知識は特集記事でどんどん発信していきます。もし、実際のライトアップについてや、商品についてでお悩み事がありましたらお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

CreativeLab.

『Creative Lab.』は、光を中心に屋外空間にイノベーションを起こすクリエイティブチームです。 デザインやアイデアで光の価値を創造するデザイン・企画チーム(AC)と、技術・開発で光の価値を創造する設計開発チーム(DC)で構成されています。 AC / DCで連携を取り、あらゆる屋外空間に合う光や価値を考え、新しくてワクワクする提案を行っています。

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