設計やデザインに携わる方からよくご質問、「どうやってLEDサインを接続すればいいのか」。現場の仕上がりを確認するために、事前にLEDサインの光り方を把握しておきたい方は少なくありません。そこで今回は、LEDサインを実際に安全に設置するための前提条件や、LEDサインを実際に光らせて確認するための手順などをご紹介します。
【はじめに】安全に設置するために
今回、LEDサインの結線方法や点灯確認などの手順をご紹介しますが、前提としてLEDサインの設置作業を「誰が行うか」については、いくつかのポイントを踏まえておく必要があります。特に店舗や商業施設など多くの人が訪れる場所などでは、安全性や法令遵守、設置後の見通し判断などが重要となってきます。また、使用する電圧も安全性には大きく関わってきます。通常コンセントや電源から出力される電圧はAC(交流)100Vと高電圧のため、電気工事士資格などを有する専門家でないと取り扱いできません。(36V以下に変圧されていれば資格がなくても安全に取り扱いいただけます。)
なかには、費用を抑えるために業者に依頼せず自分たちで設置したいという施主様もいらっしゃいますが、DIYの延長線上で単純的に考えていると途中で頓挫するケースも多く、場合によっては後に大きな事故にも繋がります。適切な資格や経験を持つ方に依頼することをお薦めすると同時に、LEDサインの実際の設置作業や施工は以下のような専門家が行うことを前提とお考えください。
①電気工事士(資格保有者)
LEDサインの設置作業には、電気設備に関わる作業が含まれ、特に電源の接続や配線などは、電気工事士の資格が必要となる場合があります。これは、適切な安全基準に基づいて作業を行い、万が一の事故や故障を防ぐためです。電気工事士は、AC(交流)やDC(直流)の電気回路を理解し、安全に作業する知識と経験を持っています。特に、家庭用電源(AC100V)からLEDサインに電力を供給するための配線作業や電圧調整の必要がある場合は、資格を有する専門家が行う必要があります。
②ディスプレイ業者
LEDサインは単に電気的な作業だけでなく、物理的な設置作業も含まれます。壁面や屋外に看板を設置する場合は、施工業者が担当します。これには、適切な支柱や固定具を使ってサインを確実に取り付けることが求められます。施工業者は、屋外設置時の天候や耐久性に配慮し、安定した設置を行うための知識と技術を持っています。また、高所作業や重い看板を取り付ける際の安全対策も重要な仕事です。
③看板専門業者
特に大型のLEDサインや特殊な設置が必要な場合、専門的な技術者やエンジニアが関与することがあります。例えば、大型ビルの屋上に設置するような場合や、特別な配線が必要な場合には、高度な技術を持つ専門家が必要です。このような設置は、安全面や構造面での詳細な計画が必要であり、設置後のメンテナンスやサポートも見越した計画が求められます。
【実践】基本を理解すればできること
前項で紹介したように、サインの設置作業は安全性や法令遵守が求められるため、適切な資格を持った専門家が行う必要があります。
しかし、変圧トランスを介したLEDサインの点灯確認の作業自体には電気工事士資格は必要ありません!これから説明する内容を正しく理解し、手順通りに行えば読者の方でも「結線作業」や「点灯確認」はできるのです。では実際に安全かつ正確に接続するための方法を、順追って解説していきます。
必要な道具と材料
LEDサインと変圧トランスを接続するために必要な道具と材料を、以下にまとめました。これらを事前に準備してから作業を始めることをお勧めします。
・(ご使用される)LEDサイン
まず、接続するLEDサインの電圧を必ず確認してください。そして必ずその電圧・仕様に合った変圧トランスに接続してください。対応する変圧トランスを間違えると、LEDサインが点灯しなかったり、仕様より高い電圧に繋いでしまうとLEDサインを壊してしまいます。
・変圧トランス(直流電流)
設置するLEDサインの仕様や容量に適した変圧トランスを選ぶことが重要です。12V仕様のサインを24Vの変圧トランスに間違って繋ぐと過電流でLEDが壊れるだけでなく発火の危険性にも繋がります。また、必ずDC(直流)出力で定電圧タイプの変圧トランス(直流電源)を準備してください。
・電線
電線の太さは非常に重要です。流れる電流値に対して、電線が細すぎると電圧降下(供給電圧が減少してしまう現象)が発生したり、最悪の場合電線が過熱し、被覆が溶けて発火する危険もあるので、適正な電線を選定し、電線を束ねた状態で使用することの無いように注意が必要です。
・ワイヤーストリッパー
・ドライバー
変圧トランスの端子に電線をしっかりと接続するために使用します。ネジをしっかり締めることができるドライバーが必要です。
・絶縁テープまたはコネクタ
接続部分がしっかりと絶縁されるよう、絶縁テープやコネクタを使用します。これにより、ショートを防止できます。
・その他工具類(ペンチ、テスターなど)
必要に応じてペンチで電線を切ったり、テスターで接続状態や極性(+/-)を確認したりすることがあります。
作業手順
では準備ができたところで、LEDサインを変圧トランスに接続する手順は以下の通りです。各手順を丁寧に説明していきますので、順番に従って作業を進めてください。
①安全確認
作業を始める前に、まず最初に行うべきことは「安全確認」です。電気を扱う作業では安全第一です。
・変圧トランスの通電確認
作業を始める前に、必ず変圧トランスに電気が供給されていないか確認してください。通電状態で作業を行うと、ショートする危険があるので注意が必要です。
・変圧トランスの仕様確認
次に、使用する変圧トランスの仕様がLEDサインに適しているか確認します。12VのLEDサインには12Vの変圧トランスが必要です。もし誤って24Vの変圧トランスを使用すると、LEDサインが過電圧で壊れてしまうので必ず確認しましょう。
さまざまな仕様の変圧トランス
②変圧トランスの設置
変圧トランスは、安全かつ適切な場所に設置することが重要です。設置場所をしっかりと選びましょう。
・通気性の良い場所に設置する
変圧トランスは熱を発するため、放熱構造で作られています。そのため通気性の良い場所に設置することが重要です。過度に密閉された場所に設置すると、過熱し故障の原因になります。
・屋外の場合は防水ケースを使用
変圧トランスが屋外で使用される場合は、防水ケースに入れることをお薦めします。これにより、雨水や湿気から守ることができ、長期的に安定した運用が可能になります。
・設置場所に合わせた固定方法
壁面や地面に固定する場合、付属のネジや金具を使用してしっかりと固定します。変圧トランスが動かないように、安定した場所に設置しましょう。

防水ボックスへのおさめ方(参考)
③電線の準備
次に、変圧トランスとLEDサインを接続するための電線を準備します。長さを測り、被覆を剥く作業です。
・電線の長さを測定
まず、必要な長さの電線を測定してカットします。変圧トランスからLEDサインまでの距離に合わせて、少し余裕を持たせて電線をカットしてください。
・ワイヤーストリッパーで被覆を剥く
電線の両端から約5~10mmを測り、コード被覆、さらに内側の電線被覆を剥きます。ワイヤーストリッパーを使うと電線を傷つけずにきれいに剥くことができます。剥いた部分がしっかりと金属部分を露出させていることを確認してください。
④変圧トランスと電線の接続
次に、変圧トランスと電線を接続します。この段階では、変圧トランス側の「+(プラス)」端子と「-(マイナス)」端子に電線をしっかり接続します。
・白(もしくは赤)の電線をLEDサインの「+」端子に接続
変圧トランス側の「+」端子に白(もしくは赤)の電線を接続します。この電線が、LEDサインにプラスの電圧を供給する役割を果たします。
・黒い電線を「-」端子に接続
変圧トランス側の「-」端子に黒の電線を接続します。この電線は、LEDサインにマイナスの電圧を供給します。
・端子がしっかりと閉まっていることを確認
電線を端子にしっかりと取り付けたら、端子部が緩んでいないことを確認します。もし緩んでいる場合は、ドライバーでしっかり締めてください。
・絶縁テープ(ビニールテープ)で端子を保護
端子がしっかりと接続されたら、絶縁テープ(ビニールテープ)で端子部分を保護します。これにより、ショートを防ぐことができます。
※屋外設置の場合、絶縁テープに加え自己融着テープも必要ですが、点灯確認をするだけであれば、自己融着テープまで巻く必要はありません。
➄LEDサインと電線の接続
次に、電線をLEDサイン側に接続します。LEDサイン側にも「+」と「-」がありますので、それぞれに白(もしくは赤)と黒の電線を接続します。
・白(もしくは赤)の電線をLEDサインの「+」端子に接続
これにより、LEDサインにプラスの電圧が供給されます。
・黒の電線をLEDサインの「-」端子に接続
これでLEDサインにマイナスの電圧が供給され、正しく動作します。
・接続部分を絶縁テープまたはコネクタで保護
接続部分をしっかりと絶縁テープまたはコネクタで保護します。これにより、接続部分のショートや断線を防止できます。

⑥動作確認
最後に、接続が完了したら、変圧トランスのプラグをコンセントに差し込み、LEDサインが正常に点灯するか確認します。
・LEDサインが点灯するか確認
変圧トランスのプラグをコンセントに差し込み、LEDサインが正常に点灯するか確認します。もし点灯しない場合は、接続部分に緩みや断線がないかを再確認してください。
点灯確認の様子
【最後に】まとめと注意点
LEDサインを変圧トランスに接続する際は、安全確認を行い、必要な道具を揃え、丁寧に作業を進めていくことが大切です。また、電圧降下を防ぐために、電線の太さや距離にも注意を払い、適切な配線を行いましょう。
配線作業が終わった後の動作確認も重要です。LEDサインが正常に点灯しない場合は、接続を再確認することが必要です。
これらを理解することで軽微な作業であれば、ご自身でもできるようになります。機会があればぜひお試しください。
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