街の明かりとして、日常に寄り添う “藤枝駅南口”のイルミネーション

静岡県・藤枝駅南口では、長年にわたり冬のクリスマスシーズンにイルミネーションが行われてきました。この取り組みは、「この街を盛り上げたい」という地元の協賛企業の情熱によって実現してきたものでした。駅前という多くの人が行き交う場所でありながら、観光イベントとしての派手さよりも、街の景観や日常との調和を大切にしながら続けられてきました。そんなイルミネーションがどのような考え・想いで計画され、どんな工夫を重ねながら続けられてきたのか――今回は、藤枝駅南口のイルミネーションに込められたこだわりや背景を、実際の現地の様子とともにご紹介します。

「地元市民のための光」という考え方

藤枝駅南口のイルミネーション開催時期の様子
藤枝駅南口のイルミネーション時の様子

皆さんは、「イルミネーション」を連想するときにどんな役割を想像しますか?人を集めて街に賑わいをつくるため、認知度をあげるため、など理由はさまざまあると思いますが、今回ご紹介する藤枝駅南口でクリスマスシーズンに行われているイルミネーションは、「人を集めること」をメインに計画されたものではありません。通勤・通学、買い物など日々の暮らしの中で駅を利用する地元市民の皆さんが何気なく目にして、「日常の中でも楽しめること」。その前提が、この取り組みの軸となっています。その時期限定のイベントとして強い印象を残すよりも、冬の期間を通して何度も目にするひとつの「光」として、違和感なく街に溶け込むことを重視してプランニングされました。また、駅前という公共性の高い場所だからこそ、誰かのためだけの演出ではなく、多くの市民にとって心地よい存在であること。その積み重ねが、日常の中に自然と受け入れられる「街の明かり」としてのイルミネーションを形づくっています。

藤枝駅南口のイルミネーション開催時期の駅周辺の様子①
藤枝駅南口のイルミネーション開催時期の駅周辺の様子②

「街の明かり」を意識したイルミネーション

上品さを生む、色と施工のこだわり

ではもう一歩踏み込んで、イルミネーションのデザインや仕上げに着目してみましょう。藤枝駅南口のイルミネーションでは、発光色を「電球色」と「白色」の2色に限定した構成になっています。大型モチーフのイルミネーション「LIMITEDシリーズ」など、視覚的なアクセントとなるモチーフを取り入れながらも、イルミネーションとしての色の種類を抑えることで、駅前全体に統一感のある落ち着いた印象を生み出しています。この2色の選択は、華やかさを演出するためというよりも、街の夜の景観に自然に溶け込ませるためのものです。

電球色と白色をベースに整えられたイルミネーション①
電球色と白色をベースに整えられたイルミネーション②

電球色と白色をベースに整えられたイルミネーション

また、樹木に巻き付けたり、地面に敷き詰めるようにも配置されているストリングライトは、光の密度にも細かな配慮がなされています。通常よりもピッチを等間隔でしっかりと詰めて丁寧に施工することで、光のムラや隙間を感じさせない均一な輝きを実現しました。

緻密に丁寧に仕上げられた藤枝駅南口のイルミネーションの施工の様子①
緻密に丁寧に仕上げられた藤枝駅南口のイルミネーションの施工の様子②

緻密に丁寧に仕上げられた施工

目立たせるための装飾ではない落ち着いた色での表現、空間の質を底上げするための丁寧な施工が合わさり、結果として「上品になった」という街の皆さんからの声にもつながっています。

毎年「新しい風景」をつくり続けるために

藤枝駅南口のアイキャッチになっている大型モチーフのイルミネーション

藤枝駅南口のイルミネーションでは、毎年変化を感じられることも大切にされています。通い慣れた駅前だからこそ、「去年とはひと味違う」と感じられる要素をつくることで、日常の中にささやかな楽しみを生み出してきました。その一方で、毎年新しい演出やデザインを表現するのは簡単なことではありません。そこで藤枝駅南口で取り入れられているのが、大型モチーフの「LIMITEDシリーズ」です。動物から植物まで幅広いモチーフを表現した豊富なラインアップと、その精巧なつくりが、毎年異なったデザインでの表現を可能にしています。
変化を続けること自体を無理のない仕組みとして組み込み、冬の期間限定でありながら、街の美観づくりとしての役割を果たし続ける。その積み重ねが、長年にわたり親しまれてきた藤枝駅南口のイルミネーションを支えています。

藤枝駅南口のイルミネーションで採用された動物モチーフの大型イルミネーション
動物モチーフ
藤枝駅南口のイルミネーションで採用されたクリスマスモチーフの大型イルミネーション
クリスマスツリーモチーフ

藤枝駅南口のイルミネーションは、特別な場所に人を集めるための演出ではなく、日常の風景の中にそっと寄り添う「街の明かり」として続けられてきました。
派手さよりも調和を、にぎわいよりも心地よさを大切にする。その考え方は、駅前だけでなく、さまざまな場所の景観づくりや光の在り方を考えるうえでも、ひとつのヒントになるのではないでしょうか。イルミネーションは、街や施設の魅力を引き立てながら、人の暮らしに静かに寄り添う存在として、これからも多様なかたちで広がっていきます。

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この記事を書いた人

CreativeLab.

『Creative Lab.』は、光を中心に屋外空間にイノベーションを起こすクリエイティブチームです。 デザインやアイデアで光の価値を創造するデザイン・企画チーム(AC)と、技術・開発で光の価値を創造する設計開発チーム(DC)で構成されています。 AC / DCで連携を取り、あらゆる屋外空間に合う光や価値を考え、新しくてワクワクする提案を行っています。

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