お家を新しく建てるときだけでなく、リフォームやお家のDIYでも最近よく取り入れられるようになった、屋外のライトアップ。そんな屋外のライトアップをもっと身近に、もっと気軽に感じてもらおうと書いたのがひとつ前の「ライトアップがもっと楽しくなる!知っておきたい照明の基礎知識『光の要素』編」の記事です。(まだご覧になっていない方は、先にそちらを読んでいただけると、今回のお話がもっとわかりやすくなると思います!)
さて、今回は照明の基礎的なお話の中でも何のお話をするかというと、「光の特性」についてです。「光」が人の感覚・感じ方や心理に与える影響や、「光」ならではの性質について見ていきましょう。
これだけは知っておきたい「光の特性」
冒頭で今回のテーマについて軽く触れましたが、タイトルにある通り、「これだけは知っておきたい『光の特性』」として、光の様々な性質や、その性質によって私たちにどのような視覚的・心理的な影響があるのかをご紹介していきます。知っておくと、意外と日常生活でも役立つ情報もありますのでぜひご覧ください。
「色温度」と「照度」の組み合わせで
「見た目の温度」が変わる?!
まず1つ目が、光の「色温度」と「照度」による光の「見た目の温度」のお話です。そもそも「色温度」とは簡単に言ってしまうと光の色味を表す指標で、「照度」とは光がある面にどれくらい降り注いでいるかを表す指標です。この「色温度」と「照度」の組み合わせによって、人が感じる「見た目の温度」が変わります。
では実際に例を挙げながら、その変化を見ていきましょう。
色温度が高い(=白もしくは青っぽい色味の)光の例として想像していただきたいのが「晴天の青空」(左写真)です。「晴天の青空」は太陽の強い日差しと空の白・青のイメージが合わさり、「爽やか」で「心地いい」印象がありますよね。では、この「晴天の青空」の色温度を下げてオレンジ色っぽくしてみたのが右の写真です。第一印象いかがでしょうか…。暑苦しい感じがしますよね。つまり、太陽ほど「明るい光」は白っぽかったり青っぽかったりすると「爽やか」に感じ、赤っぽいと「暑苦しい」と感じてしまうということです。
では次に、色温度が低めの光の例として、左下の写真のような「白熱球の照明」を想像してください。白熱球の光は明るすぎず、さらに温かみのある赤っぽい光のイメージで、それこそ「温かい」「心地いい」と感じるのではないでしょうか。では、今度は先ほどの青空とは逆で、右下の写真のように白っぽい光の照明だとどうでしょうか。少し不気味な印象に感じませんか?これがもっと白っぽく、さらには青白くなると、幽霊が出そうな肌寒さを感じる光になってしまいます。つまり、先ほどの「晴天の青空」とは逆に、「明るさが控えめな光」は赤っぽいと「温かい」と感じ、白っぽい・青っぽいと「冷たい」と感じてしまうのです。
「明るい光」と「明るさが控えめな光」の2種類の光の例を、色温度と絡めながらご紹介しましたが、光の明るさと色温度の組合せで空間の心地よさが変わることを体感していただけましたか?このように、光の明るさと最適な色温度が空間を快適に感じさせてくれる関係のことを、「クルーゾフ効果」といいます。内容をまとめると下の表のようなイメージになります。照明にも様々な「色温度」「照度」のものがありますが、今回ご紹介した「クルーゾフ効果」のイメージを意識するだけで、どんな光を空間に取り入れるといいかがはっきりします。ぜひ取り入れてみましょう!
「色温度」と「素材」には相性がある!
次に、「色温度」と「素材」の相性のお話をしたいと思います。
照明で照らす場所・空間には様々な「素材」の建材が使われていると思います。木目調のもの、レンガが使われているもの、無機質な素材のものなど、素材によっても色味に特徴があります。それらを照らす、もしくは光を間接的に当てるときに、照明の「色温度」も相性が良いものにしてあげることで、より夜の空間コーディネートの質が高まります。基本的には、素材の色味が「暖色系」のものには「色温度の低い光」を、逆に「寒色系」や「無機質な素材」のものには「色温度の高い光」が合うと言われてます。
では、「色温度の低い光」「色温度の高い光」それぞれに合う代表的な素材を具体的に見ていきましょう。
色温度の低い光(電球色)と相性の良い素材
色温度の高い光(白色)と相性の良い素材
ここまで「色温度」と相性の良い「素材」のお話をしてきましたが、実はどんな「色温度」でも相性がよい「素材」があるんです。それは…「白い塗壁」!まっさらなキャンバスに色をのせるときれいに見えるのと同じで、光も真っ白な壁であれば、どんな色の光でも美しく照らし出すことができます。
「色温度の低い光」に合う素材、「色温度の高い光」に合う素材、はたまたどんな色の光にも合う白い壁。様々な「色温度」と「素材」の相性をご紹介しましたが、結論、取り入れたい素材に合った色温度を選び、光と素材のカラーコーディネートも完璧に仕上げましょう。
「自然光」の色味を表す「演色性」
光の色味を表す指標に、「色温度」以外に「演色性」と呼ばれるものがあるのはご存知ですか?簡単に言ってしまえば、「照らされたものがどれだけ自然光(太陽光の下)と同じように見えるか」を表す指標です。
この演色性の技術は、実はショッピングセンターや美術館などでも使われていて、「服の色味がより鮮明に見える光」や「美術品が実際の色味に近く見える光」として使われています。演色性は数値が高ければ高いほど自然な色合いに見え、最大が演色性(Ra)100となっています。一般的なLED電球などはRa90で高演色と呼ばれていますが、先ほども例に挙げたように、光を当てた状態でより実物に近い状態に見せたい時にはさらに高演色のLEDが使われます。
では実際に演色性の違う光を見比べてみましょう。下の2つの写真を見てください。左が一般的なRa80ほどのLED光源で照らされた写真、右がさらに高演色なRa95で照らされた写真です。右の写真の方が、太陽の下で見る草花と同じ色味に見えますよね。
一般的に庭などの屋外空間では、照明は、光をいかに効率的に照らすか、遠くまで照らせるかに重きを置いてしまうため、演色性の優先度は低くなりがちです。実際、「演色性が高い光」=「美しく見える」というわけではないので、演色性にこだわるかは「いかに太陽光で照らしたように見せたいか」の気持ちの度合いでこだわる、くらいの心持ちがおすすめです。
ひとつ前の「光の要素」をご紹介した記事と同じように、「照明の専門的で難しそうなイメージをなくす!」を心掛けて、今回は「光の特性」をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。少し応用的なお話が多かったですが、イメージとして覚えておくだけでワンランク上の夜の空間演出ができること間違いなしです。次が照明の基礎知識のご紹介のラスト、光の「眩しさ」についてのお話です。照明を使うために実用的に役立つ知識なので、ぜひご覧ください。
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